急性肝炎

急性肝炎は、入院して安静にしていることで治ることが多い病気ですが、まれに劇症化して、最悪の場合は死に至ることもある病気です。急性肝炎の症状や治療法などを、墨田区両国の湘南メディカル記念病院・消化器内科がご紹介します。

急性肝炎とは

急性肝炎とは、主に肝炎ウイルスに感染することにより起こる病気です。まれに薬物が原因のこともあります。

経過は良好であることが多いですが、急性肝炎の患者のうち1~2%は劇症化します。劇症化とは、重度の急性肝炎で、急激かつ大量に肝細胞が障害され、肝不全から意識昏睡にいたり死亡率の高い状態に陥ることです。肝炎の症状が現れてから8週以内に意識障害が現れ、プロトロンビン時間が40%以下を示すことと定義されております。肝臓移植が必要になることもあります。

症状

急性肝炎になると、最初の症状として発熱、筋肉痛、全身のだるさや食欲不振といった症状が現れます。風邪の症状に似ているため注意が必要です。次に茶色っぽい尿や、黄疸が見られる時期に移ります。

黄疸が出てからは発熱やだるさなどの症状が和らぎますが、劇症肝炎に進む場合は症状が持続するかむしろ強くなります。症状が進むに連れて意識がぼんやりしたり、ろれつが回らなかったりといった症状が起こってきます。なるべく早いうちに兆候に気づくことが重要です。

検査

肝の細胞に問題が起こると肝臓内の物質が血液中に漏れ出すので、血液を調べれば肝機能の状態を調べることができます。そのため急性肝炎の検査も血液検査で行っています。肝細胞内の酵素であるASTやALTや、ビリルビン値を計り、異常に上昇していないか確認します。これらの数値が高い場合は肝細胞障害が生じている可能性が高いと考えられます。検査では他にも原因となるウイルス感染の有無や重症度の確認なども行われます。

治療法

急性肝炎になってしまった場合は、主に入院して安静にしていることで回復を試みます。基本的に手術も薬物治療も行いません。食欲が無い場合は点滴で栄養を取ることもあります。数ヶ月で症状が収まることが多いです。

ただし劇症肝炎の場合は大々的な治療をする必要があります。代表的なものに、肝臓の働きを補うための人工肝臓補助療法があり、身体に必要な物質を補充して有害な物質を取り除きます。また、ウイルスが原因の場合にはウイルスを抑えるような薬を内服して頂いたり、肝炎を落ち着かせるために炎症を抑える薬を使用したりして、肝臓の機能が低下している期間を乗り切れれば肝臓の機能が回復してくることが期待できます。

治療を行っても回復が見込めない場合は、肝臓移植を行うこともあります。

早めに発見するためにも検査を受けよう

肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれています。肝臓には神経が通っていないことや、予備能力が高く少々のダメージなら特に症状がなく生活できてしまうため、異常を自覚しにくいのです。しかし肝炎を放置すると肝硬変や肝不全になる恐れもあるため、早いうちに発見することが重要です。

当院の消化器内科では、血液検査を始めとしたさまざまな検査に対応しています。急性肝炎が疑われる場合は消化器内科を受診して下さい。早期発見のためにも定期的に検査を受けることをおすすめします。

監修医紹介

加藤 貴志 院長(かとう たかし/Takashi Kato)

咳(せき)の検査・診断 担当医 加藤 貴志 院長 (かとう たかし/Takashi Kato)

経歴

1998年自治医科大学卒業
2007年東北大学大学院医学博士課程修了、東北大学病院移植・再建・内視鏡外科 他
2016年〜現職

備考

医学博士 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会 日本内視鏡外科学会 日本臨床外科学会 日本再生医療学会 日本抗加齢医学会 総合診療認定医