大腸カメラ検査を受けるべき 時期・頻度

大腸がんの発症を防止するため、大腸カメラ検査で異常の有無を確認することは重要です。

では、どの程度の頻度で、またどのような時期に大腸カメラ検査を受けるべきなのでしょうか。
こちらでは、大腸内視鏡検査を受けるべきタイミングについてお話します。

ポリープががんになるまでの期間は
平均で10年

大腸の病気の中でも最も警戒すべきものが大腸がんです。
大腸カメラ検査では、大腸がんの兆しとして出現するポリープの有無も確認します。
ポリープが見つかった場合は、医師の判断に応じて切除されます。

大腸に出現した微小なポリープががんに発展するまでには、平均で10年かかると考えられています。
この平均を基準に考えると、その時点でポリープがなければ、向こう10年は大腸がんが起こる可能性は低いということになります。
もちろん、中にはより短い期間で成長するがんもあるため注意が必要です。

大腸カメラ検査を受ける目安は
5~10年に一度

アメリカでは、大腸カメラ検査を受ける頻度の目安は10年に一度と考えられています。
これは、上述したように大腸ポリープががんに発展するまでには平均して10年程度かかることが理由です。
日本においても、大腸カメラ検査は特に異常が見つから無かった方で、5年に一度程度でよいとする見方が一般的です

一度検査を受けて、次に受けるまでの期間は検査結果によって変わります。
ポリープが見つからなかった、または微小なポリープのみが発見された場合は、5年は検査を受けなくてもよいという意見が多いようです。
比較的大きなポリープや、がんへの発展が考えられるポリープが見つかって治療をした場合は、半年から1年程度経過してから再度経過を観察すべきだと考えられています。

10mm以上にもなるような大きいポリープが見つかった場合は、医師の判断で速やかに切除を行う場合もあります。
また、大腸カメラ検査の必要性は年齢によって変わってきます。
30代までであれば大腸の疾患リスクはそれほど高くありません。
40代以降は徐々に大腸がんの危険性が増していきます。40代を機に少し慎重になり、検査の間隔を少し短くするのが賢明かもしれません。

ポリープは見落としも多い

上述したように、小さなポリープががんに発展するまでの平均期間は10年程度です。
このことから考えると、「大腸カメラ検査で異常が見つからなければ、向こう10年は大腸がんに発展しない」と考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、実際には大腸カメラ検査で異常なしと判断されたにもかかわらず、わずか1年後にがんが見つかるケースもあります。

現在の内視鏡医療でも大腸ポリープのすべてを発見するのは難しく、海外における研究では全大腸ポリープの22%が見落とされているというデータが出ています。
特に小さなポリープやヒダの裏にあるようなポリープは現在の内視鏡でも完璧な認識が困難です。

この「見落とし問題」は、学会でも常に重要なテーマとなっています。
今後は少しずつ見落とし率が低下していくことも予想されますが、大腸がんを未然に防ぐために患者様自身の心がけは依然として重要と言えます。
2-3年に一回大腸カメラ検査を受ける、便潜血検査と併用するといった取り組みで、大腸の様子を正確に把握しておくことが大切です。

監修医紹介

加藤 貴志 院長(かとう たかし/Takashi Kato)

咳(せき)の検査・診断 担当医 加藤 貴志 院長 (かとう たかし/Takashi Kato)

経歴

1998年自治医科大学卒業
2007年東北大学大学院医学博士課程修了、東北大学病院移植・再建・内視鏡外科 他
2016年〜現職

備考

医学博士 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会 日本内視鏡外科学会 日本臨床外科学会 日本再生医療学会 日本抗加齢医学会 総合診療認定医