大腸カメラを使うとわかる病気とは?

大腸カメラ検査では、大腸に内視鏡を挿入して内部を観察し、以下のような病気を発見します。

早期大腸がん

大腸がんは2014年の調査において男性死亡原因の3位女性の死亡原因1位になっている危険な病気です。
今後は男女ともに死亡原因の1位となることが予想されています。
一方で、早期の大腸がんは目立った症状がないため、進行するまで放置されてしまうことも少なくありません。

大腸がんは多くの場合、前段階としてポリープから始まります
内視鏡で早期大腸がんを発見できれば、進行大腸がんに発展する前に切除可能です。
健康診断で実施される便潜血の検査では早期大腸がんの有無ははっきりわからないことがあるため、便潜血検査が陰性でも一度大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。

進行大腸がん

大腸がんが進行すると、大腸の壁の深くにまでがんが侵入していきます。
他の臓器やリンパ節への転移も起こり得る危険な状態です。死亡リスクも一気に高まります。

日本における大腸がんの発生数・死亡者数増加の背景には、食生活の欧米化が起因しているといわれています。
脂質の摂取を抑え、食物繊維を十分に摂取する食生活への切り替えが大切です。
また、定期的な内視鏡検査で、進行する前のポリープを早めに見つけることも重要です。

大腸腺腫

大腸粘膜にできた良性の腫瘍は大腸ポリープと呼ばれます。
この時点ではがんに発展していないため、内視鏡治療で切除すれば大腸がんへの進行を食い止めることができます。
放置すると徐々に大きくなり、癌化する危険性があるため、小さい大腸ポリープも決して油断はできません。

大腸憩室症

大腸カメラ検査では、大腸内部に「えくぼ」のようなくぼみが発見される場合があります。
これは、大腸憩室症と呼ばれる病気です。一度出現した憩室は、原則としてなくなりません

この病気自体は症状を伴いませんが、くぼみに炎症や出血が起きることがあります。食生活や便通の改善により憩室生成・増加の防止に取り組むことが大切です。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症が起きる慢性的な疾患のひとつです。
粘膜がただれる「びらん」が出現し、進行すると潰瘍になる場合もあります。
正確な原因については不明のままであり、国の特定疾患に指定されている病気です。
発症すると、下痢・血便・腹痛といった症状が慢性的に継続します。

直腸カルチノイド

直腸カルチノイドは直腸に腫瘍ができる病気のひとつです。
カルチノイドは「がんのようなもの」を意味します。
大きく成長した場合はリンパ節、肝臓への転移が考えられるため、内視鏡検査による早めの発見・切除が求められます。

直腸潰瘍

直腸潰瘍は直腸下部に潰瘍が起きる病気です。
通常、自覚できる症状はありませんが、潰瘍から出血した場合は血便や貧血が起きることがあります。
原因ははっきりとわかっていませんが、高齢の方や栄養不足傾向の方の発症例が多く見られます。

大腸脂肪腫

大腸脂肪腫は、「脂肪のかたまり」でできた腫瘍が大腸内部に出現する病気です。
発生頻度は約3%と、あまり一般的な病気ではありません。
成長すると大腸をふさいでしまうこともあるため、定期的な内視鏡検査で経過を観察していく必要があります。

大腸メラノーシス

大腸メラノーシスは、大腸粘膜の一部が黒く色素沈着する病気です。
ほとんどは便秘薬に含まれている「センナ」「大黄」という物質によって発症します。
この病気自体に症状はないため、通常は内視鏡検査によってはじめて発見されます。

監修医紹介

加藤 貴志 院長(かとう たかし/Takashi Kato)

咳(せき)の検査・診断 担当医 加藤 貴志 院長 (かとう たかし/Takashi Kato)

経歴

1998年自治医科大学卒業
2007年東北大学大学院医学博士課程修了、東北大学病院移植・再建・内視鏡外科 他
2016年〜現職

備考

医学博士 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会 日本内視鏡外科学会 日本臨床外科学会 日本再生医療学会 日本抗加齢医学会 総合診療認定医