胆管腫瘍

消化器系の疾患の一種である胆管腫瘍は、見つけにくく治療も難しいので、特に注意が必要な病気です。こちらでは、墨田区両国の湘南メディカル記念病院・消化器内科が胆管腫瘍の症状や検査、治療法についてご紹介します。

胆管がんとは

胆管腫瘍のなかでも特に注意を要する胆管がんについて説明していきたいと思います。胆道がんとは、胆管の上皮から発生する悪性腫瘍です。発生した部位によって、肝内胆管がんの肝門部領域胆管がんと遠位胆管がんに分けられます。

日本での死亡率はがんで亡くなった人のうち、男性で4%、女性で6%を占めています。欧米人に比べて日本人のほうが罹患しやすい傾向にあります。また、年齢が上がるに連れて罹患率は上がり、60代の人がもっとも多く発症しています。がんの中でも、膵臓がんと並んで治療が困難な疾患のうちの一つです。

症状

胆管腫瘍の症状には、黄疸、白色便、ビリルビン尿(茶褐色尿)、かゆみ、腹痛、体重減少、発熱などがあります。

まず黄疸ですが、がんができると胆管内が狭められ、胆汁が流れにくくなります。そうすると胆汁の成分がうまく体内で排泄・循環できなくなるため、血液中のビリルビン濃度が高くなり、皮膚や目の白い部分が黄色くなってしまうのです。また、胆汁が腸内に流れてこなくなると便の色が白っぽくなります。

そして血液中のビリルビン濃度が高くなって、尿中に排泄されることによりビリルビン尿(茶褐色尿)が起こります。黄疸尿になると尿の色が茶色っぽくなり、尿検査でもビリルビンの値が増えます。また、黄疸が出ると、胆汁中の胆汁酸という物質がビルリビンと一緒に血管内に流れるため、皮膚にかゆみが現れることが多いです。その他、みぞおちや右脇腹あたりの腹痛や体重減少、発熱なども胆管がんの兆候である可能性があります。

検査

胆管腫瘍の検査には主に以下のようなものがあります。

血液検査

胆管腫瘍の場合、血液中のビリルビンが増加したり、胆道系酵素のALPやy-GTPの数値が上昇したりするので、血液検査でチェックします。また、胆管がんには特異的な腫瘍マーカーがありませんが、診断の補助的な役割をするマーカーとしてCA19-9やCEAがあり、この項目を確認することが多いです。

腹部超音波(エコー)検査

体外から超音波の出るプローブをお腹に当てるだけで、針を刺すなど体に負担をかける方法をとることなく、検査を行うことができます。肝臓の内部や周辺の臓器、胆管の拡張などを調べるのに適しています。

CT検査

体の周囲からX線を当てて体の断面図を撮影します。この検査では腫瘍の存在部位や広がりを捉えることができます。胆管の拡張程度や、腫瘍がどの程度周囲の血管に浸潤しているのかも推測することができます。

この他にも患者の状況によって、MRI検査や直接胆道造影、胆道鏡といったさまざまな検査方法が行われます。

治療法

胆管がんは手術によって治療します。手術規模が大きいのに加え、肝臓や膵臓などの重要な臓器に関わるため、体の侵襲の程度が高いのが現状です。胆管がんは主に3つの種類に分けられますが、それぞれ手術方法が異なっています。

肝門部領域胆管がん

肝門部領域にがんができた場合、根治的手術のため、まわりの肝臓、胆のう、リンパ節をほぼ切除し、膵臓も合併切除する場合があります。

遠位胆管がん

遠位胆管にがんができた場合、胆管が膵臓を通っているため、膵臓へも広がりやすくなります。そのため、基本的に十二指腸と十二指腸に接している側の膵臓を切除する、膵頭十二指腸切除の術式が行われます。

肝内胆管がん

がんが肝臓の端にある場合は肝部分切除を行います。しかし、肝臓の左葉と右葉を超えて広がっている場合や、肝門に近い場合は胆のう切除やまわりのリンパ節郭清も行う場合があります。

早期発見が重要です

胆管腫瘍は早期発見が難しく、黄疸などのわかりやすい症状が出てくる頃には手遅れである可能性が高いです。そのため、少しでも兆候があったら病院で診てもらうことが重要になります。定期的な検査、治療には当院の消化器内科をご利用ください。

監修医紹介

加藤 貴志 院長(かとう たかし/Takashi Kato)

咳(せき)の検査・診断 担当医 加藤 貴志 院長 (かとう たかし/Takashi Kato)

経歴

1998年自治医科大学卒業
2007年東北大学大学院医学博士課程修了、東北大学病院移植・再建・内視鏡外科 他
2016年〜現職

備考

医学博士 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会 日本内視鏡外科学会 日本臨床外科学会 日本再生医療学会 日本抗加齢医学会 総合診療認定医