2017/03/11

シリーズ「がん」~第2回 死亡率を読み解く(2)~

加藤 貴志 病院長

日本外科学会専門医。医学博士。内科、外科など多岐にわたる症例経験豊富。統合医療医として、疾病予防、がん予防および治療、アンチエイジングを専門とする。湘南メディカル記念病院病院長 加藤医師のブログです。

ブログ訪問有難うございます。

本日3月11日で東日本大震災から6年となりました。私自身も当時は東北におり、惨状を目の当たりにしました。そして震災当日から被害が甚大な被災地へ医療支援に入りました。

昨日のことのようでもあり遠い昔のことのようでもありますが、今の生活が当たり前と思わず、日々感謝で過ごしていきたいと本日あらためて感じました。

 

さて、前回はシリーズの第1回目として「死亡率を読み解く」をテーマにお話しましたが。今回はその続きとなります。

第2次世界大戦後、日本では結核や肺炎は医療・医薬の進歩により減少していきました。かつては結核は「不治の病」と言われていましたね。

しかし、最近は結核の罹患(かかること)が増えてきましたし、肺炎は約30年前から死因として増加し、ついには「第3位」になっています。

実は、この事と前回お話した「医療が進歩しているにもかかわらず、がんの死亡率が下がっていない」事の要因は一緒です

それは、”高齢化と長寿命化” です(前回答え言っちゃってますが(^-^; 

すなわち、長生きしているため肺炎に罹患したときに体力、抵抗力がないため死亡原因になることが増え、がんが発見されたときには進行がんであったり治療対象にならなかったりしたことで死亡率が上昇しているのです。

                  (がんの統計’15より抜粋)

上図は、「年齢調整死亡率」です。

人口の高齢化の影響を取り除いた死亡率のことです。

がんは1990年代後半から男性、女性とも減少傾向にあることがわかりますね(^-^) 脳血管疾患はとくに急激に減少していますね(黄色線)。

ということで、皆さん安心してくださいp(^-^)q ちゃんと医療の進歩で結果出てますよ!

もちろん医療の進歩にはいろいろあり、病気の予防教育や健診、検診による早期発見の効果も非常に大きいと思います。また、健康意識の高まりで食事や生活習慣の改善も見逃せません。

死はいつ、どんな形でやってくるかわかりません。ですから、毎日をいきいきと過ごしていきたいですね。これからも私たち医療人はそれのお手伝いをさせていただきます。

お読みいただき有難うございました。次回をお楽しみに!

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